− どんなファンが聴いている? −

 一般的にZZ TOPといえば、80年代であり、「アフター・バーナー」であることは間違いない。MTVやベスト・ヒット・USAを見てZZ TOPを知り、当時の人気バンドらと共に、ZZ TOPも聴いている(いた)方々がなんと言っても一番多い。2003年現在、廃盤になっていない国内盤は、「アフター・バーナー」ぐらいしかないことも、このことをよく物語っている。逆に言うと、この時期以外のファンは少数派といえるのだ。それぞれの「特徴ある」少数派について詳しく見てみよう。

 サザンロック・ファン:結構コアなファンが多く存在し、家族・兄弟の絆を大切にする性質からか、ZZ TOPをサザン・ロックの仲間とみなし、好きでいてくれる。実際、ZZ TOPは南部(テキサス)の出身であり、「サザン・ロック」としてジャンル分けされることもよくある。また、Duan Allmanが健在であった頃のオールマン・ブラザース・バンドや、レイナード・スキナードともステージを共にしている。音楽的にも共通点があるのだ。双方をまたがったファンは以外に多い。

 ブルース・ファン:ZZ TOPの根底にブルースが流れていることは周知の通り。ブルース・ファンがいるのは自然なことだ。但し、ディープなファンの中には、初期のZZ TOPしか認めない方も存在する。「アフター・バーナー」はもちろんのこと、それ以降、現在のZZ TOPも認められていない。但し、80年代ハイテク・サウンドの先駆けとなった「デグェロ(皆殺しの挽歌)」あたりは許される。それはなぜか、エルモア・ジェイムスの「Dust My Bloom」が収録されているからだ。

 ブルース・ロック・ファン:上記ブルース・ファンともダブるのだが、こちらは、ロック色の強い音楽も含まれる。なので、初期ZZ TOPに限らず、(ある程度)どの時代でも聴けるところが特徴といえるだろう。ブルース・ロックの祖とも言えるジョニー・ウィンターとは、同郷テキサスにてステージを何度も共にしているし、ビリー・ギボンズが、かのジミ・ヘンの前座を務めた話は有名である。
 「ブルース・ロック」という表現は、ZZ TOPの正当な評価のひとつと言えよう。

 ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ファン:80年代ミュージック・ファンから派生するファンとも言えるのだが、ロックとしてZZ TOPを聴くため、現在のZZ TOPでも素直にカッコイイと思えるはずだ。ハード・ロック系ミュージシャンの間で、ZZ TOPの人気は非常に高く、それ系のバンドが集まって作られたトリビュート盤や、ライブで ZZ TOPをカバーするミュージシャンなど、挙げると切りがない。ZZ TOPは、"Musician's Musician" であることの証ではないだろうか。

 アメリカン・ロック・ファン:ZZ TOPの音楽は、地平線の見えるアメリカのハイ・ウェイが良く似合う。トラック野郎達が運転中に聴くため、テープの方がよく売れたというのも納得できる話である。

 トリオ・ロック・ファン:結成から30年以上、3人だけで演奏し続けているロック・バンドも珍しい。たいてい歳をとり、有名になるにつれ、コーラスやホーンセクションの入った大編成のバンドへ移行していくものだ。トリオ編成はZZ TOPの魅力のひとつだろう。

 ブギー・ロック・ファン:ZZ TOPが紹介される際、「世界的に最も商業的成功を収めたブギー・バンド」と言われることもある。「ブギー・ロック」と言われてピンとくるバンドといえば、イギリスのステータス・クォぐらいなのだが、つまりは、ブギーを演っていて有名なのは ZZ TOPぐらいしかいないということだろうか。

 以上、探せばまだまだあるとは思うが、たいていはこのどれか、もしくは複数の部類に入るのではないだろうか。もし、このどれにも当てはまらない方がおられたなら、是非とも私に教えて頂きたい。とても興味のあることなので。
 ちなみに私は、ブルース・ロック・ファンであり、トリオ・ロック・ファンかな・・・


<< Prev | Back | Next >>