− ビリー・ギボンズの趣味・嗜好 −

 残念ながら、私は個人的な知り合いでも何でも無いので、本当のところどうなのかは知る由もない。しかし、今までに見てきたインタビュー記事や彼の言動から、ビリー・ギボンズの趣味や嗜好について書いて見たいと思う。

 ビリー・ギボンズは、あらゆることに興味を持ち、流行モノにもけっこう敏感な新し物好きである。それでいて、昔ながらの音楽スタイルや、テキサス/メキシコの伝統文化にも興味を持ち続け、そして、テキサス人としての誇りを忘れることはない。こういった性格が、ZZ TOPの音楽にも影響を与えていることに間違いないだろう。
 アルバム「Deguello」で見せた、あの音楽的な多趣味ぶりは、まさしくそれではないだろうか。更にその音楽性を発展させたのが、後の「イリミネーター」「アフターバーナー」へとつながってゆくのだ。

 彼は無類の車好きで有名だが、やはりここにも性格が現れている。スタイルや見た目は60年代の古き良きアメリカ、いわゆるデカいアメ車の時代なのだが、中身はリストアされ、最新のエンジンに置き換えられ、最高の状態に保たれている。
 早い話がホット・ロッドなのだが、ハイテクとオールド・スタイルが同居するクルマに、彼の人間性がよく現れていると思う。

 新しいモノ好きという点に関しては、1998年に放映された「ホンダZ」のCMに出演したことで、日本に少し興味を持ったのだろうか。99年には十数年ぶりに来日し、次のアルバムでは、 "Ninja Shack"(忍者屋敷)という曲まで作るに至っている。
 また、その頃日本のユニット「パフィー」がアメリカで公演した際には、ビリーも見に来ていた(招待された?)そうだ。

 音楽以外には、70年代後半、2年間ほど活動を休止していたとき、彼はパリ・マダガスカル島の芸術家集団と暮らし、芸術活動に明け暮れていたそうである。それ以前にも、 グラフィック・アートを描いたり、更に若い頃には、奇妙な?ラクガキも多く残すなど、アーティストと呼ばれるにふさわしい存在であることがよく分かる。

 彼のミュージシャンたる所以は、新しいモノをどんどん取り込みながらも、決して、それらに流されることは無く、自分のものにしてしまうこと。  時には強引に自分流に消化してしまう為、ワンパターンと評されることもあるのだが。それこそが、彼の音楽や個性を確立している部分だろう。


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