− ZZ TOPは日本で売れない? −

 こんな大きなテーマを取り上げてしまって良いのだろうか、そもそも、そんな簡単に原因が分かるのであればレコード会社は何の苦労もしないだろうに。とりあえずこれは、私のラクガキのようなものである。

 まず、逆に日本以外では売れているのか? を考えてみると、「日本よりは売れている。 しかし、爆発的ではない」と、なるのではないか? MTV全盛の80年代に世界的に知名度を上げたので、今でも認知度の高いバンドではある。 しかし、その後これといったヒット曲もなく、ロックファンに知られるような大きなニュースもなかったので、世界的に見ても「名前は知っているが、今でもやっているのか?」という感想が一番を占めると思う。
 現状だけを見てみれば、日本で売れていないというよりも、日本とそれ以外とでは、もともとファンの数が違っていただけと考えられる。

 ではなぜ、もともとのファンの数が違っていたのか? ここでは、米国、欧州、日本の三ヶ所について考えてみる。

 まずアメリカ。彼らは活動当初からローカルなイメージを大切にし、「テキサスのZZ TOP」というキャッチで売ってきた。そして地道なライブ活動を続け、ファンを増やし、やがて、テキサスローカルから米国全土のものとなり、「アメリカの・・・」に成長していったわけだ。地元テキサスはもとより、本国アメリカのファンは多くて当たり前なのである。

 欧州はどうか。ヨーロッパで人気を得るきっかけは、80年ドイツでの Rockpalast出演だった。旬のバンドが多く出演し、欧州の音楽ファン注目のこのイベントで、彼らはライブで鍛えた力をいかんなく発揮し、その名を知らしめたのである。また、この模様が全ヨーロッパにTV放映されたのも大きかった。 そして、その後すぐにやってきたMTVブームにより、一般ファンも巻き込んで行ったのは言うまでも無い。

 さて、日本の場合はどうだろう。日本で一番最初にリリースされた国内盤は、3枚目の「Tres Hombres」(1974)だった。1st,2ndアルバムの国内盤は、リアルタイムでリリースされていないのだ。ロンドン・レコードから全てリアルタイムでリリースされていた米国や欧州とは、言葉の壁もあり、必然的に差もつくであろう。
 また、70年代後半〜80年にかけての、ちょうど脂の乗った時期に来日公演が実現しなかったのも大きかった。初来日の87年までにファンの基盤が出来上がらなかったのである。 そのまま80年代に突入し、彼らの音楽性が変化してから初来日を迎えることになる。 確かにこのとき、一度に多くのファンが増え、日本でも熱烈な歓迎を受けたのだが、 どうしても多用されたシンセや、ビジュアル面等の表面的な部分に目が行ってしまい、流行モノとして捉えられ、その後へ続くファンがあまり定着しなかったのだ。
 かくして、現在の日本に ZZ TOPファンは多く存在しないのである。

 以上、過去の経緯から日本のファン数について考えてみたのだが、これだけでは、「日本では売れない」と言い切ることは出来ない。他の理由についても考えてみたいと思う。

 次回へ続く(はず)・・・


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