− フランク・ベアードになりたい −

 私は特にドラマー志望と言うわけではないのだが、フランク・ベアードの存在がすごく気になっている。
 3人の中では一番目立たない存在であり、近年は昔に比べ単調なドラムしか叩いていない。もちろん、単調でも悪く無いし彼にしか出せない”ノリ”がある。
 70年代の初期ZZ TOPや、それ以前に在籍していた"The American Blues" の音源を聴けばよく分かるが、はっきり言って彼は手数が多くて複雑なリズムを叩き出すテクニシャンである。しかし、一般的に見て長いヒゲのフロント二人に比べたら目立たないのは確かだし、 実際2002年冬の欧州ツアーでは、盲腸で入院してしまった彼の代わりにドラムテクニシャンが代りを務めても、大きな問題も起こらずにバンドはツアー日程をこなした。(この2年前にダスティの病気によりツアーをキャンセルしたので、今回は中止出来ないという理由もあったが)

 私の知人は言う。「ヒゲの二人だけ目立っていてかわいそう」そして、「ドラムの人もヒゲを伸ばせばいいのに」と。

 フランクよ、それでいいのか? と言いたくもなるのだが、実はそんな心配は全く無用なのである。30年以上メンバーチェンジなしに続いているバンドにも、やはり、解散かと思われる時期はあったらしい。しかし、その時フランクのこの一言でバンドは救われたと言うのだ。

 「3人が揃っているからZZ TOPなんだ」

 この言葉にビリー、ダスティとも心から納得し現在に至っている。
 その昔、見た目が田舎臭かったために "Rube(田舎者) Beard"と呼ばれ、1stアルバムにはそうクレジットされたりしているが、なんだかんだ言っても ZZ TOPの1/3はフランクであり、絶対に欠かせない人物なのだ。
 しかし私は、「フロントに比べて、ラクしてるよな〜。」と、思わずにいられないのであった。


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